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まんごろどんの天草ん話

2008 / 06 / 07

天草話 『たんたん竹次郎』

竹次郎 1ページ

 たんたん竹次郎

 むかーし 昔、天草のある山の ふもとに
兄弟二人で 仲良く暮らし
ていました。兄の名は時太郎 弟の方は
竹次郎と言いました。 親と早くに死に分か
れてのち、それはそれは貧乏しておりました。
 その上、気の毒なことに弟の竹次郎
の方は 目が見えませんでした。 しかし
兄の時太郎は決して 面倒に思ったり
邪魔者扱いしたりは しませんでした。
いえいえ、それ所か、

竹次郎 2ページ

 竹次郎を 宝物のように大事にしていたそうです
「竹次郎や そっちは寒いだろう こっちと替わろうじゃないか」
「あー 腹一杯になったなあ 竹次郎よ 残りの雑炊は お前が
食べてしまって くれ」
 どうしてまたそんなこと、時太郎は雑炊を食べる
ふりをして 水をすすっていたのです。
「すまないね 兄ちゃんにばかり 働かせて」
「ばかを言うんじゃない 俺の目が見えなかったら
お前が同じように働いて くれるだろう
同じことじゃないか」 いつでも こうして思いやり
いたわり合って暮らしていた。
 ある日のことでした。

竹次郎 3ページ

「今日は 大きな魚を貰って来たから ご馳走してやるぞ」と言って
弟を喜ばせました。ご馳走といっても 子供が二人で暮らす
家に どうして大したご馳走がありましょうか
いつもの粟粥にいく分か 身が多い魚が
盛られているだけでした。
 その夜のことでした。とにかく寝苦しい
夜だったそうです。
 弟の竹次郎は あれやこれやと考えておりました。
「兄ちゃんはいつでも 腹一杯になった と言って 俺に
食べさせてくれるが ひょっとすると兄ちゃんは
うまい所は自分が先だ と食べて 目が見えない
俺には残りばっかり食べさせているんじゃないだろうか」

竹次郎 4ページ

あんなにいたわり合っていた兄弟でしたが 魔がさしたとでも言う
のでしょう。人間、疑い出せばきりがないものですね。
竹次郎はまた 考え始めました。
「年がら年中 俺には草粥ばかり 兄ちゃんは
米のご飯を食べているんじゃないだろうか 今日も魚の身を
ちょっと食べさせて、うまいだろう うまいだろうと言う」
弟は何かに憑かれたように 起き上がったと思ったら
釜屋から出刃包丁をとり出し、
すやすやと眠りこけている時太郎の心の臓に
グサッ。恐ろしいことに、更に胃の腑を切り開いて
手でさぐりました。間違いなく米のご飯でいっぱいの筈
の胃袋は 何とただの水ばかり。米一粒出て来ません

竹次郎 5ページ

でした。そして胃の奥からは ちいさな魚の頭と骨ばかりがざくざく
出て来ました。竹次郎は はっと我に返りました。 俺は 俺は
何ということを したのだろうか。取り返しのつかないことをした。
「兄ちゃーん 兄ちゃーん」時太郎は
なんにも返事をしませんでした。
竹次郎には死ぬということが どう言う
ことか よく わからなかったのです
「兄ちゃーん 何か言え、竹次郎が悪かった」
泣いても 泣いても 涙がぼろんぼろん出て
止まりませんでした。 一晩中 泣き明かした竹次郎は
明け方、自分の のどをかき切って果てました。 それからでした
この辺りに ほととぎす と言う鳥が鳴くようになりました

竹次郎 6ページ

その ほととぎすは このように鳴くのです
「たんたん竹次郎 本望とげたか」「とげた とげた」
一度鳴き続けると 一日中鳴き続けます。
余りにも可愛想な二人を神様が
ほととぎすに 変身させられたのでしょう。
ほととぎすの鳴く時は よーく聞いて
ごらんなさい。悲しい声で鳴くんですよ
鳴いて血を吐くほととぎすの話
でした。

これで ちゃんちゃん

2007 / 09 / 07

まんごろどん紹介

                                                                                         まんごろどんイラスト  

まんごろどん

 本名  上中 満

 職業  元  中学校の先生
       今  アーティスト(画も描けば、文も書く)
     天草郷土資料館館長
 
 純粋の天草便で、講演の依頼が多く、思わず笑える話しが幼稚園から老人会まで非常に受けている。
もっと詳しく知りたい方は、イソップ製菓(株)まで メールでお問い合わせ下さい。